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恋愛事情からみた少子化問題

早稲田大学教授 森川友義

今般、総務省は、日本の総人口が前年と比べて26万人減、過去最大の下げ幅、と発表しました。50年後には、現在の総人口は4千万人減少して、8700万人になる予想です。千年後には日本人がゼロになるという試算もあります。わが国が、この地球上から消滅する危機に瀕しているということです。
未婚化・非婚化が進み、少子化に歯止めがかかりません。
現在の出生率が約1.3。既婚の夫婦の出生率がおおよそ2ですので、少子化問題の根本は、結婚しない男女の増加というふうにとらえることができます。
なぜ、若者は、結婚しないのか?
その背景には何があるのか? 
この問題を若者の恋愛事情の観点から分析してみたいと思います。

 少子化の原因、つまり若者が結婚しない理由の主なものは、スライドにあるような4つです。
一つずつ説明してゆきましょう。

 まず一つ目の理由は、「見合い結婚の減少」です。
見合い結婚の特徴は、写真の他に、年齢、職業、学歴といった条件面での情報が容易に入手できる点です。
 私は「3ない男」ということばで表現してきましたが、わが国には「勇気がない」、「時間がない」、「出会いがない」という男性が数多くいます。恋愛経験が乏しく、しごとが忙しいために異性との出会うチャンスがない人々です。
従来は、「3ない男」が、「結婚市場」において、順次売れていく、最も効率的な手段として、お見合い制度が存在していたという歴史的背景があります。
 戦前の1930年代では10人に7人、戦後でも60年代前半までは2人に一人がお見合い結婚で結婚していました。
 ところが、60年代後半から、西洋的な恋愛重視の風潮、お見合い世話人の減少等の理由から、徐々に見合い結婚が減少し、70年代では3人に1人、80年代では5人に1人、90年代では10人に1人、現在では20人に1人程度が、お見合いで結婚しているにすぎません。
 20人に1人ということは、20人中の残りの19人がお見合い以外の方法で結婚しているということになるのですが、お見合い結婚が減少した分、「3ない男」にとっては結婚が難しい状況です。
 
 2つ目は、経済的側面からの分析です。日本の雇用状況が恋愛や結婚に影響を与えているということです。
こちらは30代男性の正規・非正規別婚姻・交際状況のグラフです。正規・非正規といった社会的地位や年収が、恋愛経験の有無や既婚比率にも影響を与えていることが見てとれます。社会的条件が恋愛や結婚に重大な影響を与えているのです。
なお、厚生労働省の調査では、女性の場合には、正規・非正規の違いや年収が結婚に影響はほとんど与えないことが判っています。
 これらを総合すると、未婚化・少子化の原因は、現在では男性全雇用の20%を超える非正規雇用の問題となります。つまり、男性が女性を結婚相手に選ぶときには、所得の高低は問題とされないが、女性が男性をみる場合には、正規・非正規といった地位や収入という社会的条件が重要ということです。
 
 3つ目の理由は「結婚後のみに得られるものの減少」です。とくに男性が結婚したがらない理由です。
 男性にとって結婚のメリットは、子どもをもうける、独占的に性行為をする、専業主婦として妻に家事をしてもらう、結婚というステータスを獲得するなどがありました。
ところが、近年では、性に対する価値観の変化、外食産業の発達、結婚というステータスが職場の昇進に不可欠ではなくなった、といったことから、結婚にこだわる必要性がなくなってきたようです。
外食産業の発展によって食料には不自由しませんし、家電製品の機能向上によって、安楽に一人で生活できるようになりました。
結婚の目的のひとつ、性行為も、昨今の風潮により、結婚前でも行われることから、結婚後の資産の目減りが生じています。
さらに子どもという資産です。
従来、子どもを持つメリットには、(1)自分の遺伝子が次世代に受け継がれる本能的な喜びの他に、(2)自分の家や財産を守る、(3)老後の介護の期待などありました。
しかしながら、子どもをもうけたとしても、子どもが結婚して孫をもうけてくれるとは限りませんし、子どもに老後の面倒をみてもらう期待も持てなくなりました。
さらに、子どもの成長過程で、多額の教育費の支出、いじめや落ちこぼれといった教育上の問題もからんできて、子どもが、すなわち、「人生至上命題、喜び」という図式が必ずしも当てはまらない時代になったようです。
 
4つ目は女性側の問題で、「ベースライン思考」と呼んでいるものです。
ベースラインとは、女性が自分を最低ラインとして考え、恋人にはそれ以上の資質であることを望む傾向のことを指しています。
近年、高学歴、高収入になる女性が増えてきています。女性の高学歴が高収入をもたらし、男女間の格差は減少しつつありますが、これは歓迎すべき現象です。
もし女性が男性に同程度の成功を求めないならば、恋愛や結婚に何ら影響を与えませんが、そう思う女性は少数派です。
むしろ、女性は、自分自身を最低ラインとしてみて、学歴も収入も自分と同じかそれ以上を望むのが圧倒的に多いことがアンケート調査から判っています。
社会的に成功した女性は男性に対する社会的条件の要求水準が過度に上がり、マッチングがスムーズに行われていないという現実があり、この問題も婚姻率の減少の一因になっています。
 
それではこの少子化問題を解決するのはどのようにしたらよいのでしょうか? 
最後に、解決策を3つほど提示したいと思います。
解決の大原則は、「結婚後」の対策にあるのではなく、「結婚前」にあることを自覚する必要があります。現在の政府の政策は子ども手当といった「結婚後」の政策であるので、根本的に不十分です。
具体的な解決策として、3つを提案します。

一つ目は、税金を投入してでも「お見合い」制度を復活することです。
地方自治体が婚活パーティの主催という形で行っていることは歓迎すべきことです。ただ政策的にはインプット志向で、アウトプット志向になっていないのが残念な点ではあります。つまり、未婚の男女を引き合わせる場所を提供するのですが、その後、何人が交際を始めたのか結婚したかのフォローアップが充分にできていないようです。
そこで、地方自治体を中心に、お見合い世話人を任命して、世話人に対して、成功ベースで報酬を出す制度を構築するのはいかがでしょうか。このようなアウトプットベースの解決策ならば、データとして見やすいのも利点ですし、世話人のやる気も創出できます。
 
 二つ目は、「街コン」の拡大です。
「街コン」とは栃木県宇都宮市で誕生した男女を引き合わせる制度で、現在、すべての都道府県に拡大しています。
街コンの長所は、場所を提供する商店街と、出会いの場を求める若者の両者の利害が一致するウィン・ウィンのソーシャルビジネスで、男女の出会いという意味でも商店街の活性化という意味でもさらに推進すべきものです。
 
 三つ目は、現在のデフレ傾向は消費マインドを冷え込ませています。インフレ策に転換すべきです。
恋愛や結婚に至る過程の恋愛関連産業は数十兆円にのぼり、日本経済の活性化は恋愛や結婚にあるとも言えます。そのためにも、デフレは若者の恋愛チャンスを萎縮させますので、インフレ策に転換すべきでしょう。
 
以上、3点を挙げましたが、今後、政府に望む点は、「結婚後」に税金を投入するよりも、「結婚前」の男女に予算をあてがうことが重要ということです。今後の政策の動向を注視したいと思います。




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